もう1人の自分はちょっと放っておくと
すーぐヘソ曲げてそっとどっかへ行ってしまう。
これまでも何度かあった話だ。
あまりのシグナルの無さにそれに気付かずフツーに生きていたら
もう1人の自分はだーいぶ遠くまで行ってしまっているご様子で…
今にも忘れるか忘れないかくらいスレスレのところまで遠くなった頃に
ようやっと違和感を覚えたSOUが気付いて慌てて探しに出掛けるのであった。チャリで。
シャコシャコシャコ…
シャコシャコシャコシャコ…探しまわる。
そして長らく振りに見つけたもう1人の自分。
いつもの土手でうずくまり泣きながらSOUにこう言ってきたのだった。
「なんでちゃんと構っててくれなかったんだぁぁぁ…
SOUに意識しててもらう他に生きる術なんてボクにはないのにぃ…ううう…」
ちいさく泣くもう1人の自分の姿に痛く切なくなったSOUは穏やかにこう言った。
「ごめんよ。もう二度と放ったりなんかしないからSOUに帰っておいで。
お前ちゃんがいないSOUなんて本物のSOUじゃないんだヨ。
…お前ちゃんだって知ってるだろ?」
2人ともは固く抱きあい暫しの間大泣きをした。
お互いの大切さや脆さや尊さを改めて思い知ったのだ。
それは月の綺麗な夜だった。
チャリを押しながら家路を辿るその影はもう1つになっていたとさ。
おわり